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ないといかん。だから、いつでも掃除をするこれが1つ。要するに品質管理ですよ。
それから、おじぎをするというか、あいさつをする。これは、お客さん、取引先、そういう人に対する礼儀ですね。それから、従業員同士のコミュニケーションをよくするために必要だ。
それから履物をそろえておく。これはいつでも飛び出せるという、緊急のときの危機管理ですね。火事とか震災とか、そういうときにパッと飛び出せるあるいは仕事の場合でも、さっとどこか行けと言われたらパッと飛び出せるという、迅速に行動ができるための準備。そういう3つのことを100年、社是としてずうっと来た。言葉自体は平板なんだけれども、中身は、この企業が繁栄、発展していくための基本的な3条件になっているという言葉なんですね。
私は、そういうことにほとほと感心するんですが、日本人の持っている価値観というものをこれからみんなで考えつつ、それを例えば青年の家の中で若者で議論しつつ、個人に機能していくという、難しいことなんですが、どうやったって今の時代は、そういう2つのものを1つでまとめていくという難しさが、どうしてもあると思うんですね。
例えば、この前からTBSの問題でマスコミがいろいろやられています。マスコミの報道なんかを見ても、大阪大学の山崎正和先生に言わせると、おもしろジャーナリズムと黒白ジャーナリズムというふうにおっしゃる。一方ではおもしろいこと、おもしろいことを要求していく。ところが、一方では黒か白か、どっちが正しいか。今の住専の問題とか、薬害エイズなんかの問題になると、だれが悪いんだ、だれがいいんだ。悪玉、善玉で分けて、悪玉の方を徹底的にたたいていく、こういうジャーナリズムがある一方では、オウムでも、何でもかんでも茶化しちゃうというか、おもしろがってやっちゃう。こういうおもしろジャーナリズムと黒白ジャーナリズム、この2つに取り囲まれている。
そういうのがバーッと情報として入ってくる、これは一体どっちなんだと思いたくなるようなことが多いですね。とにかく情報を一人の自分という中で全部そしゃくして、これを振り分けて自分で判断するということが、これから本当に多いと思うんですね。会社の場合でもそうです。会社員としての自分の生き方、個人としての生き方をこれまたどういうふうに整合性を持たせていくか、常にそういう判断を求められる今の若者についても、先ほどはマナーのお話をしましたが、物すごく個別化しているし、多様化しているし、個人主義で自己中心主義であります。しかし一方では、この前もある青年団体で議論をしたんですけれども、今の若者をどう見るかでは、もう真っ二つに分かれるわけですよ。一方の人は個性的だと言う、一方の人は、いや、そうじゃない。例えば、あの東京ドームなんかの音楽会へ行ってごらんと。アメリカから来たロックンロールの歌手がフーツとやると、みんな一斉に立ち上がって両手をあげて、盆踊りみたいにこうやって、何というか、その歌手が教祖みたいなもので、教祖の言うとおり揺れ動く。あんなものに何の個性があり、主体性があるかという話になるんですね。
だけれども、両方なんだというふうに思わざるを得ない。ああいう歌手のコンサートに行くと、本当に若者って、自分の考えとか自分の主体性とかあるんだろうかと思う。しかし、着ている服装を見ると、みんなばらばらですね。それから、やっぱり髪型もばらばら。来るのもみんなばらばらの意思で来ているどこが魅力がというふうなことになってくると、それぞれの思いがあって、みんな違う。ただ、目で見えているパフォーマンスはみんな同じことをやっている。一斉に立ち上がって、しかも座席の上に立つものですから、踊ったりする癖のない者は、足の向こうから演奏を聞くという状況になるわけですけれども、そんなことで、常にミックスするというか、違うものが2つも3つもあって、その中でどっちをどういうふうに吸収するか、常にそういうことを考えていかざるを得ないのが今の時代だと思うんですね。
そういう状況の中で、それじゃ、具体的に青年の家に何を求めるかということなんですが、ある種の訓練、社会的ルール、これは市民としての条件です。
アメリカのコミュニティーに住んでいるときに、日曜日の朝、昔、日本人のビジネスマンがよくやったんですが、コミュニティーから4人でゴルフに行

 

 

 

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